海に囲まれた日本のごちそうと言えば刺身。刺身があればそこに日本酒がないと話が始まらないですね。欧米人に比べて日本人はお酒に弱いし、飲めない人もいるけれど、街には居酒屋があふれ、夜な夜なみんながお酒を楽しんでいます。私もです。「酒ばかり飲んでないで、まじめに仕事しなさい!」と怒られますが、いやいや、お酒は立派な日本の麹文化なのですよ。私は毎晩、麹の勉強のためにお酒を飲んでいるのです。
麹は調味料だけではなくお酒も作ります。昔々、713年に編集された古い書物にはすでに麹を使って酒造りが行われていたという記述があるので、もっと前から作られていたと考えられます。もっと昔の、縄文時代中期には酒器も見つかっている事から、山葡萄などを潰して野生の酵母菌を利用して酒を造っていたと言われているし、後期には栗の実などのデンプン質を口で噛んだものを容器に入れ、口の中の酵素でブドウ糖になったものに野生酵母が入り込んで発酵し、酒を造っていたと言われてます。こんなに昔から日本人はお酒を造って飲んでいたわけですから、私の酒好きは日本人の生まれ持った性質なのです。しょうがない事なのです。
麹から造る日本酒はワインなどと同じ醸造酒ですが、ウィスキーのような蒸留酒も造ります。日本酒を造る麹とは少し種類が違う麹を使い、米、麦、芋などの穀物を発酵させ、蒸留して“焼酎”を造ります。日本の南の方の暑い地域では焼酎を造り、もっと南の沖縄という地域では“泡盛”という焼酎が造られます。どのお酒もそれぞれに、その地域の特産品をおつまみにして飲むと本当においしい!
お酒ではないのに“甘酒”という名前の飲み物もあります。柔らかく炊いたごはんに麹を混ぜて甘くしたもので、栄養価が高いビタミンドリンクのようなものです。他にも、お茶の葉に麹菌を繁殖させ、それをさらに乳酸菌で発酵させたお茶もあります。
お酒だけではなく、ジュースにもお茶にも麹が使われているなんて、日本人にとって麹がいかに大切かという事がわかりますね。 |