3. 昔の日本人はみんな調味料を手作りしていた
日本のスーパーマーケットに行くと、色々な種類の醤油や味噌、酢、料理用の酒、みりん、塩麹がきちんと並んでいます。私たちはそれを手にとって買い物カゴに入れ、レジでお金を払って家に持ち帰り、料理に使います。見るのは値札だけで、原材料まで見る人は少ない。ですから半分くらいの日本人は、醤油が大豆や麦からできているとか、ましてや麹の存在など知らないのです。もちろん私もその一人でした。だけど麹の存在を知れば知るほど、買うより作る方が楽しいと思うようになってきました。 私の祖母は1920年頃、大分の山奥で生まれ育ちました。祖母は米や野菜を育て、調味料はもちろん、”どぶろく”という白濁したお酒や、漬物、野菜や餅を干した保存食まですべて手作り。昔は調味料を店で買うなんて、怠け者で恥ずかしい事だと思われていたのです。買うのは麹菌という、麹を作る為の菌だけ。自分で作った米を精米して蒸し、麹菌を繁殖させて米麹を作り、それを使って味噌や酢、酒、みりんを作り、自分で作った野菜を食べていました。今ならそんな生活も健康的でおしゃれと言われるけれど、子供の頃は田舎臭い感じがして嫌でした。だけど大人になるにつれ、祖母の作るごはんのおいしさがお金では買えない大切なものだと知っていきます。手作り味噌の味噌汁のおいしさとか、添加物がはいってない漬物とか、きちんと保存しないと虫がわいてしまう米や豆など。だけど気付いた時にはもう遅い、祖母は他界していました。お葬式ではみんなが「ばーちゃんの作った煮物がおいしかったー」とか「私は炊き込みご飯が好きだった!」とか、祖母の料理の話ばかりしていたのを思い出します。 採れたての野菜や米を、手作り調味料で料理したものを毎日食べられるなんて贅沢、都会に住んでいる私には真似できないけど、手作り調味料のうちのいくつかは真似できるかもしれません。少しだけでも自分で作った調味料で料理をして、おいしく楽しく暮らしたいと思います。 |
■鶏ときゅうりのサラダ |