1. 日本の食事の基本は米・大豆・麦・塩・麹
世界の皆様こんにちは。私はイラストレーターで麹料理研究家のおのみさです。これから私は日本という小さな国の、さらにさらに小さな微生物“麹”が繰り広げる、面白くておいしい世界の事を少しずつお伝えします。 日本には世界各国の料理が食べられる店がたくさんありますし、食卓にもカレーやハンバーグ、餃子などが日常的に並びます。朝食はクロワッサンとコーヒー、昼食はパスタやラーメン、夕食はワイン片手にチーズ、生ハム、ピザをつまみます。そんな食生活がカッコイイ事だと思っていますが、刺身に醤油を少しかけて食べ、おいしい日本酒を飲んだ時は「あー、おいしい! 日本に生まれて良かったー!」と叫びますし、海外旅行から帰った時も「あー、疲れた! ごはんと味噌汁と漬物が食べたいー!」と叫びます。どんなにおいしい洋食を食べ続けても3日もすれば疲れてしまい、和食、それも「ごはんと味噌汁と漬物」という質素な献立に戻ります。日本人にとってその献立は、なくてはならないものなのです。 日本人の主食は米。玄米をそのまま炊く人もいますが、普通は玄米を精米して白米を炊きます。精米したあとに残った米ぬか(玄米の外皮部分)に塩や水などを加えて発酵させ、そこに野菜を漬けて“ぬか漬け”という漬物を作ります。味噌汁に入れる味噌は、白米に麹を繁殖させて米麹というものを作り、大豆と塩をまぜて作ります。大豆からは豆腐や油揚げ(豆腐を薄く切って揚げたもの)を作って味噌汁の具にしたり、醤油をかけて食べたりします。醤油は大豆と麦に麹を繁殖させて大豆麹と麦麹を作り、塩と水をまぜて作ります。日本の食卓をよく見ると、野菜や魚以外は米、大豆、麦、塩、そして麹という微生物から作られています。麹がなければ日本の食生活は成り立ちません。 米・大豆・塩を味噌に変え、大豆・麦・塩を醤油に変える麹という謎の微生物。どんなにおいしい洋食を食べても和食に戻してしまう麹の魅力とはなんなのでしょうか。 |
■ピーマンの醤油焼き ※醤油の焦げた味がピーマンと絡んで |